悠久の500年!歴史上のあの人も戴いた?由来記に見る京都『御粽司 川端道喜』



芒種の今日 なっちゃん 1才0ヶ月と15日



散髪してスッキリ。

暑くなってきたので、走り回って汗びっしょりです。


最近は「あらーっ!」と私たちが驚くと一緒にビックリ!反応することに成長を感じます。



1ヶ月前の初節句には凛々しい姿のなっちゃん。

五月人形は旧暦の端午の節句(6月25日)まで飾ろうと思っています。


仕事と孫育てに奔走する中、時たま思い出すのが、

『御粽(ちまき)司 川端道喜』


御飾りするちまきを探していて見つけたお店です。


老舗といわれる和菓子店が多い京都で、1503年 創業500年という川端道喜はもう別格としか言いようがないのではなかろうか。

(ちなみにレオナルド・ダ・ヴィンチが生まれた年も1503年)


500年と聞くだけでもすごいのにその由緒たるや!

完全予約制。

オンラインショップも一切なし。

京都にお住まいでもご存知ない、戴いたことがない方もいらっしゃるとか。


年に2~3度、京都に出向く私たちですが、思い立って「今日行こう!」と出かけるので前もっての予約は無理。

メールどころか、電話注文ですら受けられない場合もあると聞きます。


お節句の頃には1ヶ月待ち。それ以降も節句に戴けなかった方々の注文がしばし続く。

希望日の1週間ほど前から予約をしても、すでに売切れてしまっていることもあるというほど入手困難。


それほど困難といわれるわけは、1日に作れる数に限りがあることと、

京都洛北で取れる香り高い良質の笹の葉しか使わない中で、最近は野生動物に食べられたりと手に入らなくなっていること。


変わらぬ味と伝統を守り続けていく老舗ゆえの難しさ。

現在は16代目夫人の知嘉子さんが代表を務め、その味を守っていらっしゃいます。


吉野本葛と砂糖のみの「水仙粽」

餡を一緒に練り込んだ「羊羹粽」

ともに5本1束で3,900円。ちまき1本が約800円!


「最近、流行りのおうちごはんが買えてしまう・・・(*_*; 」そう考えずにはいられません。

何より、送っていただくのはムリだろうと諦めていました。


だけど五月人形を見たり、ふとした時に「川端道喜のちまきはどんな味?」好奇心がよぎります。


この世相。ご褒美や楽しみは自分で見つけたい!

そんな気持ちが拍車を掛けて、

生来の「やってみなけりゃわからない」精神がいつものごとく顔をだし、敬意を込めて手紙をしたためました。


その3日後、

「現在は発送などは行っていないのですが、お孫様の初節句ということでお届けさせて頂きます」と、大変丁寧なお電話を頂きました。


お名前をお伝え下されば御祝熨斗で包んでお届け致します、とのこと。

京都とはお隣の県。

午前中に着くと思いますが、消費期限が1日ですので届いた日のうちに必ずお召上がり下さい、とも伝えられました。


ご希望のちまきは?という問いに、両方お願い出来ますでしょうか?と、もちろん即答しました。


予約に出かけても片方しか購入出来なかったという方もいらっしゃる。ぜひとも両方戴きたいものです!


このお店では、他に和三盆糖で作られた「おいとぽい」1,080円

そして折に触れ作られる上生菓子のみ。


和三盆糖のお干菓子はマリエさんが大好き。伺うと「おいとぽい」も一緒にお送り出来ますよと嬉しいお言葉。


そして(私達がなにかをお取り寄せする際には必ずお願いする)リーフレットなどございますかと尋ねると、

お菓子のものはございませんがお店の由来記をお送りします、とのこと。


まさにお店の歴史書!

歴史について、さっと拝読していましたが由来記とは!これほど嬉しいものはありません。



お電話をいただいた翌々日、商品が届きました。

諦めていた「水仙粽」「羊羹粽」

「おいとぽい」に感動したのはもちろん、同封されていたその由来記。



興味のない方からすれば漢字がびっしり、見るだけで遠慮したいと思われるかもしれません。



歴史に感嘆していた私にとっては、故16代目が手がけたそれはまるで巻物。貴重な書物に思えました。


室町時代、武士をやめ餅屋を創業した渡辺 進四郎左衛門。

娘婿となった中村五郎左衛門は継承の際に渡辺彌七郎と名乗り、その後、剃髪入道して居士(こじ) 名の(※出家せず家で修行をする仏教徒)

初代・道喜と名乗るようになる。


時は足利氏の末の世。

幕府の財政が疲弊(ひへい)したことにより、宮中の財政も逼迫(ひっぱく)。


御内裏においては日々のお召上がり物にも事欠くありさま。


進と道喜親子はそれを拝察し、歳事や祝事の注文とは別に毎日色々な品を献上するようになる。

塩餡で包んだ珠状の餅を6個づつ三重の木箱に入れて毎朝お届けしたという。


それは「朝餉の儀」として明治天皇が東京に移るまでの350年に渡って、代々の道喜が受け継がれてきた。

京都御所には「道喜門」という専用門が今も残っている。



初代 道喜の頃、奈良 吉野より献上の葛粉を使っての御用を賜り、京都洛北の笹で調製した「羊羹粽」をお届けすると、

際立った笹の風味・保存の良さに、季節を問わずご注文を賜ったという。


御所内ではそれを「内裏ちまき」「道喜ちまき」と呼び、

御所から賜った方々からは「御所ちまき」と呼ばれ、世に知られるものになったのだとか。


歴代天皇のお名前と初代から15代道喜までの関わりや、川端町に住んでいたことに由来する家名など。

織田信長、豊臣秀吉、徳川家康。



千利休と茶席をともにしていたという、誰もが知る人々との繋がりが書き記されていました。


今でも時折、宮内庁の御用を承ることがあるのだとか。


初釜用のお茶席菓子・新年に戴く和菓子として、今は一般的になった御菱葩(おんひしはなびら /花びら餅)もこちらが発祥です。


現在の両陛下はもちろん、上皇様や上皇后様方も、たぶん・・・召し上がられたはず。

安土桃山、江戸、明治、大正、昭和。

思いつく限りのこの方、あの方。どれほどの著名人たちがこの道喜粽を戴いてきたのだろう。



それこそ幕末を京で生きた人たちも、ひと目をしのびつつ、ちまき片手に新時代への夢を語っていたかも、なんて想像が膨らみます。


由来記を読みながら、各時代の人々に認められ守られてきたお味を2020年の今、同じように戴けることを幸せに思いました。



さてさて、肝心の「道喜粽」

封を開ける時にはワクワクしました。


熨斗には初節句御祝。鶴亀が描かれ、なっちゃんの名前が書かれた厚紙が貼られています。



開けると1本1本がしっかりした太さです。

丁寧に巻かれた、い草はまるで芸術品のよう!


「なっちゃんの腕の太さと変わらないんじゃない?」



お昼寝していた、なっちゃんと比べてみる。

なかなか近しい太さ!



「いっそのこと持たせてみる?」

眠っている子を起こさないように、あれやこれや・・・



そんなことをしていないで早く飾ろう。



早速戴いてみましょう。

まず「水仙粽」

以前は5枚巻かれていたという笹の葉も今は4枚。



基本のむき方で開いていくと半透明なお菓子が現れ、今まで知る餅粉や上新粉などで作られたものとは全く違いました。


笹の葉の青々とした香り。少しづつ楊枝で切って戴くと葛切りより柔らかく、葛餅よりサッパリ。サラッとした触感。

甘さと香りが広がります。初めて味わうちまき!



全部食べ終わる前に「羊羹粽」も戴いてみました。こちらもサラッとした舌触りの軽い水ようかんという印象でしょうか。



どちらもあっという間に消えてしまう。

1枚数十円するといわれる笹の葉も、食べ終わりに捨ててしまうのが勿体なくなるような存在感。


何とも儚げな、それでいてしっかり風味を感じさせてくれるお味。今思えば2セットずつ戴けばよかったかしら?

後を引く、もっと戴きたくなるちまきでした。


また戴ける日は来るかな。

京都に出かけた際にはなんとか訪れたいと思いました。



マリエさんは一番外側の笹の葉を集め、熨斗をカラーコピーしてオリジナルの粽。

今年は山鉾巡行が中止になり厄除け粽が頂けないからと。


なんでも器用にこなす人です。



「おいとぽい」

宮中女官が用いた御所ことばで、可愛いという意の「いとぽい」に”お”が付いたんだそう。

薄地のクリーム色の不織布に包まれ、内のしが掛けられていました。



9cm程の箱の中に、1cmくらいの小さな半円のお干菓子がたくさん入っています。


黄色く可愛い菓子箱に小さな小さな白、薄桃、薄緑のお干菓子。なんとまぁ愛らしいこと。

上箱の裏にも「川端道喜」の印字が貼られています。



口に含むとふんわりやさしい甘さ、ほろっと柔らかくすぐに溶けていきます。勇壮な五月人形を横目に、これは雛のお菓子のよう。


貴重なお店の貴重なお菓子たちに込められた思い。

悠久という言葉がぴったり。

歴史の1ページにトリップしたような気持ちになりました。どうもありがとうございます。


なっちゃんにお砂糖はいっさい食べさせていない私たちですが、

この「水仙粽」のほんの僅か、ティースプーン4分の1くらいだけご飯と一緒に食べさせました。


もう少し大きくなったら、一緒に食べたいね。

その日を楽しみに。



今年は残念ながらこんな風景も見れなくなったけれど。

厄除けという粽に願いをかけて。


過去の人々が乗り越えてきたように、2020年の今を頑張りましょう。

とある街角の小さな宝石屋RIVAMARE アラカンマムの日々つれづれ

天然石アクセサリー とある街角の小さな宝石屋RIVAMARE(リーヴァマーレ)です。天然石のこと、日常のこと、大好きなスイーツことなど徒然に綴っています。 2019年5月、令和になってすぐに生まれたナツキくんの成長日記も。 日々いそがしく過ごしつつ楽しいことを見つけていきたいアラカン店主でございます。

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